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8月5日(土曜日) 放送局への受信報告

 先日アラブ圏在住のDXerたちと話す機会があり、QSL(受信確認証)の話題が出たときに「アラブ諸国の放送局の中には中東のDXerには返信をよこさないところがある」というトピックで盛り上がりました。

 ある知人いわく「Radio Kuwaitに何度受信報告を送ってもQSLカードはおろか、返信そのものがない。ちなみにアラブ諸国に留学している日本人のふりをして日本人名で受信報告を送ったら返信があった…」というのです。クウェート以外にもUAEのアブダビが同じような対応だったそうです。にわかに信じられない話だったのですが、複数の知人が同じような体験をしているとのことで、やはりそうした区別がなされているのかもしれません。

 日本でBCLが趣味として多くの若者に受け入れられていた70年代後半から80年代半ばまでの一時期、実は日本からの受信報告に返信をしてくれなかった放送局がありました。Radio Norwayです。ある時期から受信報告を送ってもなしのつぶて。封筒の表面に「無視しないで!」(Please don't ignore!)とまで書いて受信報告を送ってもダメでした。その後ブームが去った80年代半ば以降、Radio Norway は返信を再開したようですが、考えてみればすごい数の手紙を処理し切れなかったために一時的に返信を止めるというのも仕方のないことだったのかもしれません。

 まったく余談になりますが、わたくし、かつて中学時代にピョンヤンの放送局に手紙を送った際に「もっと面白い番組を聞きたい」と書いたところ、まったくスルーされたことがあります。「面白い番組」というのは、連中にとってはキムさんの不朽の労作あたり(いや、これは面白いなどというものではないかも)なのでしょうけれど、中学生にとってはあまりにも退屈な内容だったという感想を素直に書いただけだったのですが 笑

 ピョンヤンの放送局の日本語放送(1973年1月)の音声はこちら: Pyongyang January 1973
  

 ずいぶん昔に一度書いたかもしれませんが、BCLを趣味とする人の中にはQSLカードを受け取るために様々な策を講じているケースもあるようです。国際返信切手を同封するのはよく行われる方法ですが、そのほかにも自分で作成したQSLカードにサインを入れて戻してもらう方法や、違法と知りつつ現金を同封するケースも少なくないようです。しかし、放送局側からすればQSLの発行や投書への返事というものはあくまでもサービスで実施しているわけで、それを返信がこないからヒドい放送局だと烙印を押すのはお門違いというものです。ひょっとして返信がないのは、不躾な手紙や受信報告、そしてカネで人を動かすという不遜な態度そのものにあると考えてみてはどうでしょうか。

 返信を得たいばかりに、ある特定の政治的・社会的目的をもつ放送局(地下放送など)に受信報告を送る際に「あなたたちの目的が達成されることを願っています」などというリップサービスを書き込むようなケースもあるようです。実際にはそんなこと微塵も考えていないし、そうした放送局の素性や主張を理解すらしていないにもかかわらず無責任にそのような言葉を口にする(書く)というのも、いささか恥ずかしい行為だと思います。
 
 海外の放送局に手紙を送る際にはマナーを守って…というのはBCLが盛んだったときによく雑誌などに書かれていた文言です。デジタルメディアが全盛のこんにち、インターネットの世界では無責任、無礼、無秩序がまかり通っています。そうした中、放送局とメッセージのリアルなキャッチボールを楽しむことができるDXerには、今こそ礼節をわきまえた振る舞いが求められていると感じます。

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