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4月15日(金曜日) テロ集団ISのラジオ放送

 中東のテロ集団ISによるラジオ放送はAl-Bayan(Idha'atu-l-Bayan)という名称で放送を行っています。Al-Bayanは、2013年3月にテロ集団がシリアのAl-Raqqah(ラッカ)を掌握して間もなくFMで放送を開始ました。また、2014年6月にイラクのAl-Mousl(モスル)を掌握して以降はモスルのFM送信所経由でも放送を行っています。

 いずれの都市からの放送もAl-Bayanの名称でアラビア語のニュースや番組を放送してきました。ラッカからは99.9MHz、モスルからは92.5MHzと99.3MHzの2波での放送が行われているとされています。Youtubeには、カーラジオでラッカのAl-Bayanを受信している様子がアップロードされていたりします。

 その後、ISが勢力を拡大する中で、イラクではFallujah(ファッルージャ)、シリアではPalmyra(パルミラ)などでも一時期放送が行われていたとされます。

 ひところまでAl-Bayanの音声は「ニネヴェ県からのアル・バヤーンラジオ」とIDを出していたのですが、最近は「ニネヴェ県」とは言わなくなっています。ニネヴェはモスルを州都とするイラクの行政区(県)の名称です。現地の放送を直接FMで受信することができないので断定的なことは言えないのですが、この動きはひょっとするとISの勢力拡大にともない、それまでラッカとモスルなどの都市で異なった番組を放送してきたのを改め、共通番組を放送するようになったのではないかとも推測されます。

 このAl-Bayanの放送の内容についてはニュース以外の時間にどのような内容の番組が放送されているのかがわからなかったのですが、最近になってニュース以外の時間の番組を聞く機会があり、その片鱗をうかがうことができました。

 それによるとAl-Bayanの放送は、以前は一日8時間程度の放送だったものがどうやら24時間放送になっているようです。また、およそ一時間おきにアラビア語ニュースが放送され、そのうち平日(金曜を除く)のJST2000にロシア語、2300に英語のニュースも出ていること。そのほかにフランス語とクルド語のニュースの時間もあるらしいこと(ただし未確認)。ニュース以外にはインタビュー番組やコーランの朗唱、唱明(アカペラの歌)などが放送されていることなどがわかりました。

 私が聞いた番組のうち、インタビュー番組では15歳の少年がこれから自爆テロに向かう(彼らは「殉教行為」と言う)決意を語り、その父親の声とともにBGM(アカペラの歌)が流れるという内容でした。また、「尋問」という番組では戦闘で捕虜としたイラク国軍の兵士へのインタビューや、イラク人警察官捕虜への尋問の様子が流され、尋問の直後に銃声が聞こえ(おそらく捕虜たちを殺害したのでしょう)る中で男たちのタクビール(「アッラーは偉大なり!」の雄たけび)が聞こえます。そのほか「戦線へ集え!」という呼びかけや、エジプトのSisi大統領や「ムスリム同胞団」を非難する内容のトーク、さらには「逃亡するな!」という、住民への脅しのような番組(コーランの一節を引用しながら)が流されています。

 ただ、ニュース以外の番組は何度も繰り返して放送されている模様で、番組制作の技術は高い(音の処理など)ものの、制作体制はかなり脆弱であるように感じられます。Al-Bayanには番組表があるわけでなく、またニュースがいつ放送されるのか、放送の中でアナウンスされるわけでもないので、ここで紹介した情報はあくまでも断片的なものではありますが、正直なところ聞いていて気分が悪くなるような醜悪な放送であることだけは確かです。何かに似ている… と思いついたのが、サッダーム・フセイン時代の湾岸戦争(1991年)末期のRadio Baghdadが、占領下にあったクウェートの送信施設から海外向けに放送していたプロパガンダ放送Mother of Battle Radio(Idha'at Ummu-l-Ma'arik)の内容です。とても魅力がない内容がてんこ盛りで、しかも同じ内容が繰り返されて… 結局サッダームの場合は和平を申し出ざるを得なかったわけですが、テロ集団はそう簡単には殲滅することはできないでしょう。

 一方、ISが勢力を拡大したリビアでもIS系のラジオ放送が行われているとの情報があり、Syrte(スルト)、Benghazi(ベンガジ)、Darnah(ダルナ)の3都市の名前が挙がっています。リビアのIS系のラジオ放送はAl-Tawheedという名称だといわれています。およそ半年前のことですが、アラビア語の衛星テレビチャンネルAl-Arabiyahが、IS系のAl-Tawheedがチュニジア南部のジェルバ島で受信できたと大騒ぎになったことを伝えました。Al-Arabiyahによると「Al-Tawheedが受信できたことで、ISの力がチュニジアに迫っていると人びとが感じた」としています。これは、おそらくリビアのSyrteから出ているFM波がジェルバ島で受信できたものなのではないかと思います。

 地中海地域では冬場でも対流圏伝播によってFMやテレビの音声・映像が遠方で受信できることが多々あります。スルトとジェルバ島の距離は直線で約450キロメートルですが、この距離はエジプトのカイロとキプロスのニコシアとを結ぶ距離よりも少し短い程度です。このHPのインターバルシグナルのページでも紹介しているように、エジプトのカイロではキプロスのFM放送やレバノン、イスラエル、ヨルダンのFM放送がよく受信できますから、ジェルバ島でリビアのFMが聞こえても不思議ではありません。また、欧州のDXerの中にはEスポによってAl-Tawheedを受信したとの報告も見られるようです。

 ウエブ上ではAl-Bayan、Al-Tawheedともに音声が聞けることになっていますが、Al-Tawheedのほうはリンク切れとなっていて確認できていません。一方のAl-BayanはYoutubeなどでニュースの音声をきくことができます。

 モスルやラッカ、そしてリビアの人びとがこのような放送を毎日聞かされているのかと思うと、彼らの辛い気持は日々の生活の不自由さとともに、いかほどのものかと思います。人権を無視して拡大を続けるテロ集団が早い機会に消滅、壊滅することを願わずにはいられません。

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