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2月24日(土曜日) 地下放送と受信報告書

 「地下放送」という名前を聞いて心が騒ぐ… という方は、多分相当なラジオファンだと思います。「地下放送」とは、ある国の政権が認めていない政治・宗教団体などが、その国から見れば非合法な方法で自分たちの主義主張をその国に向けて放送することを目的としている放送局のことを指す。多くの場合は送信所が他国にあり、政治・宗教団体の主義主張を支持してくれる国がバックアップをしている。ブラックプロパガンダなどと呼ばれる… などという説明はここでは不要かもしれません。

 かつて、冷戦時代には東西対立のはざまで多くの地下放送が活動していました。また、地域紛争をめぐってアジア、中東、アフリカ、中南米でもこのような放送が多く聞かれました。極東地域、中東地域は特に地下放送の数が多いエリアとして知られていましたし、こんにちなおそのような放送が継続してる地域もあります。

 多くの地下放送局は聴取者からの手紙を求めたり、受信報告を歓迎したりすることはありませんが、たとえば70年代までスペイン共産党が運用していたRadio Espana Independienteなどは受信報告に対して、ピカソの絵画をモチーフに下QSLカードを発行していたことで知られるなど、例外もあります。地下放送の中にはまったく存在しない団体名で活動を行っているものと、実在の政治・宗教団体がバックアップしているものとがあり、後者のほうは団体の海外支部経由で返信が得られるケースもありました。

 70年代から80年代にかけては、中東で最も地下放送の活動が活発だった時期だといえます。特に70年代後半にイラン革命、ソ連によるアフガニスタン侵攻、イラン・イラク戦争など、地域の緊張を高める事件が続き、それを契機に様々な国や政治団体が様々な思惑で地下放送を実施しました。中東の地下放送の中にも、手紙のあて先をアナウンスするものがあり、それを聞き取って手紙を送ってみるのも中東の放送を聞く醍醐味でした。

 イランのイスラム共和制に反対する地下放送の中にはアメリカのCIAの支援を受けている局も少なくないといわれていましたが、たとえばRadio Vatan(祖国放送)やRadio Nejat-e Iran(イラン救国放送)、Radio Iran(ラジオ・イラン)からは返信がありましたし、イラクのサッダーム・フセイン政権が支援していたVoice of Mujahidin-e Khalq-e Iran(イラン・ムジャーヒディンハルクの声)からも返信が得られました。ソ連のアフガニスタン侵攻を批判して放送されていたVoice of Unity(統一の声:アフガニスタン・ムジャーヒディン放送)もQSLカードを発行しました。一方、イラン共産党系のいくつかの地下放送も手紙のあて先をアナウンスしていましたが、返信は得られませんでした。海外では返信を受け取った人もいたようですが。

Radio Vatan QSL
イラン向けに旧王政派のメッセージを流したRadio Vatanはデータ記入なしの不完全QSLを発行していました

 地下放送が流す情報の多くは、官製情報だけがニュースとして出てくる国々の反政府勢力の主張を反映するものとして参考になることも少なくありませんでした。もちろんその中には「フェイクニュース」も多く含まれていたと思われますが…

 最近ではインターネットが発達し、ある国で非合法化されている団体による放送についてもメールや手紙で連絡がつく場合が殆どですから、厳密には「地下放送」ではなくなっています。ウエブ上でオンデマンドストリーミングサービスを実施している局も少なくありません。中東に目を向けてみても、もはや純然たる「地下放送」というものはほぼ無くなりました。こんにちなお旧来の「地下放送」の体を保っている放送は朝鮮半島など限られた地域にみられるのみとなりました。

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