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1月9日(木曜日) 結局両者ともガス抜きか... よかったけれど

 きのうの朝(日本時間)、イランからイラク駐留米軍基地に向けて巡航ミサイルが発射された件。戦争勃発か?!と世界が心配の渦に巻き込まれたわけですが、結論から言うと幸いなことにそのような危機にまでは到らずに済みそうです。

 トランプは、大統領選に向けてイランへの強硬姿勢を見せる必要があった。しかし、カネがかかり、しかも人命が危険にさらされ、さらに中東地域の同盟国(サウジアラビア、イスラエルなど)にも悪影響が及ぶような戦争はやりたくなかった。また、かつての同盟国だったトルコとの関係もよくないので、かつての湾岸戦争のように関係国からの支援も得にくい…などの理由もあって、翌日には「これ以上の緊張拡大は望まない」との声明を出しました。

 一方のイランですが、最高指導者ハメネイが「アメリカに張り手を食らわせた。でもまだ報復は十分じゃない」と強硬な発言をしたものの、一方で外務大臣のザリーフは「これ以上の緊張、反撃の応酬は望まない」との声明を出し、イラン側としても一旦矛を収める姿勢を見せています。イランとしても、ガソリン値上げに端を発した11月の暴動など、国内に不安定要素を抱えていること。アメリカをはじめ各国からの経済制裁が効いていること。さらにさすがに戦争となると国内にはかつてのイラン・イラク戦争の際の窮状を多くの国民がまだ知っていて、それを望まない空気もあることなどもあります。一方で革命防衛隊の司令官スライマニーの殺害については国内の不満が高まっており、ガス抜きをする必要があった。ということで、とりあえずミサイルを発射して強硬姿勢を見せてガス抜きをした上で、アメリカとの本格戦争を避けることにした…ということでしょう。

 イラン側がアメリカとの戦争を望んでいないことは、たとえば アメリカ軍のイラク駐留を認めているイラク政府にイラン政府からあらかじめミサイル攻撃について通告していたことにも表れています。イラク政府に事前通告があったということは、当然のことながら米軍、アメリカ政府にも情報が渡っていたと考えられます。イラン側は米軍関係者80人が死亡したと発表しましたが、どうやって被害を確認したかも不明で、一方トランプは被害がなかったと述べており、万一米軍に大量の死者が出ていればもっと騒ぎが大きくなっているはずですから、イラン側の情報は正しくないのではないか。これも国内向けプロパガンダではないかと感じています。もうひとつ、イランのミサイルは北部のアルビル(イルビル)に着弾したといわれていますが、目標を外れたとの報告も出ています。イランのミサイルの精度が低かったのか、あるいはわざと目標を外したのか… あながち後者も否定できないと感じています。

 ともあれ、中東の危機的状況はとりあえず最悪のシナリオを避けられそうです。このまま事態が鎮静化(完全には沈静化しないですけど)してくれれば、わたくしたちの生活への影響もさほど大きくならずに済みます。

 ところで、このブログにいただいたコメントへの返事の中でも書いたのですが、先日イランの国際放送の1980年当時の録音を整理していたところ、宗教指導者ホメイニーの声明が出てきました。じっくり聞いたことがなかった(録音したままにしていた!)ので、改めてじっくりと聞いてみたところ、その内容は「いま」流してもまったく違和感がないもので驚きました。つまり、理屈としては「イランの主権を脅かすアメリカはけしからん。イランは決して屈することはない」といういつものレトリックです。1980年当時からイランとアメリカとの関係はよくなく、イランは同じような主張を繰り返してきたということです。冷戦当時に東側の国際放送がお経のように「アメリカ帝国主義」を非難していたこと、70年代から21世紀初頭ごろまで急進派アラブ諸国の放送が「イスラエル、アメリカの野心」をお経のように非難してきたことは、自分の記憶に鮮明に残っています。そうした「お経」はこんにちほとんど聞かれなくなったわけですが、イランに関してはそうした昔ながらの「お経」がいまも生きているのだ。古い録音を聞いて、改めてそんなことを感じました。

Comments: 2

KAUNAS URL 2020-01-13 Mon 12:58:01

toshiさま

 ご指摘の通り日本の外交の質の低下が際立って見えてきますよね。地に足がついていないので、状況がかわると右往左往です。こんな状況に我々の税金が使われるのはいかがなものかと思います。結局何も得られるものはなくて、日本という国の評価が下がるばかり… 困ったものです。

 店主敬白

toshi URL 2020-01-10 Fri 20:12:11

今回もトランプ大統領お得意のディール(この表現がいいのか?)ですね。
北朝鮮にしても中国にしても、また今回のイランにしても何一つ解決せずにくすぶった状態にして自らの大統領選に利用しようという私利私欲が透けて見えます。

そのトランプ大統領の足元で右往左往する日本の権力者(この人も私利私欲)を見ていると、いとあわれ(この場合どうしようもなく悲しいという表現が適切かな)という気持ちになってきます。

私利私欲のために日本や世界をもてあそぶのはやめてもらいたい。

そんな気持ちになった一日でした。

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